俳優の阿部寛(47)、女優の上戸彩(26)らが出演する映画「テルマエ・ロマエ」(武内英樹監督)が、作品の舞台であるイタリア全土で劇場公開されることが13日、発表された。同国で邦画が公開されるのは極めて異例で、実写では4作品目。2010年の「おくりびと」を超える50館程度での年内公開が予定されている。この日、都内で行われた大ヒット御礼あいさつに出席した2人は、現地公開に「ビックリした」と驚きながらも喜んだ。

 テルマエの“本場”イタリアからのオファーに阿部、上戸を含め、会場中がどよめいた。古代ローマ人の浴場技師・ルシウスを演じた阿部は「ビックリしました。これで(知名度が上がって)ローマ観光に行きやすくなる」と笑った。


 日本の風呂、古代ローマの浴場をタイムスリップするのが舞台の本作。昨年3月、ローマ郊外にあるチネチッタ撮影所でロケを敢行し、今年2月にローマでプレミアを行った際には上々の評判だった。さらに4月には同国の「第14回ウディネ・ファーイースト映画祭」に出品。観客賞にあたる「マイムービーズ賞」を受賞したことで、大きく現地公開に動き出した。


 イタリアの大手映画会社・タッカーフィルムが配給し、過去最大規模の50館程度での公開を想定している。これまで公開された日本の実写映画は国際的な評価の高い北野武監督の「HANA―BI」(97年)、「座頭市」(03年)、米アカデミー外国語映画賞を受賞した「おくりびと」の3本のみ。「テルマエ―」はこれら以上の期待をかけられていることになる。


 ローマプレミアで舞台あいさつに立ち、イタリア人の観客の反応を肌で感じている阿部、上戸はロードショーの成功を確信。「イタリアの皆さんの明るい表情が印象に残ってる。これがイタリア中に広がるなんて…」。上戸が感激の面もちで話すと、阿部も「ハリウッド版なら、(自分の役を)キアヌ・リーブスにやってほしい」と冗舌だった。

 日本でも大ヒットを記録中で公開2週で興行収入27億円を突破。今年、公開された映画の中で最速となる公開13日目での観客動員200万人も達成した。イタリア以外にも台湾、香港での公開も決定しており、「テルマエ―」ブームが世界に拡大しそうだ。


 ◆チネチッタ撮影所 ローマ郊外にある同国最大の映画撮影所。敷地面積は約14万平方メートル。1936年、ファシスト体制下にムッソリーニが設立。以降「ベン・ハー」「ギャング・オブ・ニューヨーク」など数々の名作を生み出した。日本映画が同所でロケを敢行したのは09年の「アマルフィ 女神の報酬」以来2作品目となる。

 ◆映画「テルマエ・ロマエ」 ヤマザキマリ氏の同名漫画が原作で、タイトルはイタリア語で「ローマの浴場」という意味。古代ローマの浴場設計技師・ルシウス(阿部)は、ひょんなことから現在の日本の浴場にタイムスリップし、風呂文化にカルチャーショックを受ける。文化をローマに持ち帰ったルシウスは、名声を獲得していくのだが…。

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