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『ヘルタースケルター』岡崎京子(祥伝社)


 7月公開の注目は、『ヘルタースケルター』だろう。最高傑作ともいわれる岡崎京子のマンガを原作に、監督は蜷川実花、主演の沢尻エリカは5年ぶりの銀幕復帰でヌードを披露──。作品の注目度だけでなく、大麻常用疑惑を発端にニュースが絶えないエリカ様。話題性は十分だ。


 マスコミ試写は大混雑で、上映中は、演出の一環なのか、盗撮防止との説明のもと、スクリーンの両サイドでガードマンが見張る異様な光景だった。興行収入は2ケタ(10億円)はいく、というのが周囲の関係者の声だ。
 
 注目の「沢尻はどれだけ脱ぐのか」については、期待を裏切っていない。開始早々バストトップをさらし、恋人役の窪塚洋介との濃密な濡れ場シーンで惹きつける。プロデューサー役の哀川翔や、マネージャーの彼氏役・綾野剛とのセックスシーンもある。不安定で奔放なトップスター・りりこは、沢尻の素行ともリンクしフィクションを超えてくるよう。極彩色の蜷川ワールドも全開で、宣伝文句「映画というより事件!」の言葉通りだ。

 引っかかったのは、同時代性が薄いこと。りりこは“消費される存在”として苦しむのだが、今のアイドル、例えばAKB48のメンバーはそんなことは百も承知でしのぎを削っている。「どうせ私たちは欲望処理装置」と言ってのける後輩モデル(水原希子)こそ、現代感覚のような気がした。10 ~ 20代の観客はどう観るのか気になる(そもそも観に行かないかな)。

文=平山ゆりの/日経エンタテインメント!
(ダ・ヴィンチ8月号「出版ニュースクリップ」より)


 

提供:ダ・ヴィンチ


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