8e0f4_105_musi5-m購入してから1週間、食べる勇気が出なかったお菓子がある。それがこれ。

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 かわいらしい箱に入っていたのは……

 虫! の形をしたお菓子だ。写真手前が「いもむし三兄弟」(200円)、左奥が「かぶと虫の幼虫チョコレート」(220円)、「かぶと虫の成虫チョコレート」(1,000円)。いずれも秋田県の製菓店・小松屋本店の商品である。なぜか同店のHPのトップには、虫のお菓子ばかりがズラリと並んでいる。

 一体、このお菓子屋はどうしてこうなってしまったのか。小松屋本店の小原健一さんはケロリとした様子で語る。

小原健一さん(以下、小原)「気持ち悪いですか? 私は作り手ですので、気持ち悪いなどとは思いませんね。もともとは、7年前の秋田県横手市での昆虫展にて、面白いお菓子を作ってほしいという市からの依頼で『かぶと虫の幼虫チョコレート』が誕生したのですが、初めて試作品を作ったときも、普通のチョコとして食べましたよ」

――さすがに、最初は社内で反対もあったのでは……?

小原「ええ、気持ち悪いと反対する人もいたため、当初は昆虫展だけで出すつもりで作りました。ところが、これが予想以上に反響を呼び、昆虫展の翌年からインターネット販売を開始。その後、かぶと虫の成虫や、いもむし、はちのこなどあらゆる虫スイーツを開発しましたが、今でも一番の売れ筋はやはり『かぶと虫の幼虫チョコレート』ですね。現在、通算販売個数は13万個。つまり、通算13万匹も食べていただいてるんです」

小原「ちなみに、個人的に知り合いのおばさんに幼虫チョコをプレゼントした際、『キャー!!!』と箱ごと投げ飛ばされました。驚くくらいリアルにできていたんだと、うれしくなりましたね」

――あれ……そこ喜ぶところなんですか。

小原「本当は,
もっとリアルに作り込めるんですよ。ですが、あまりやりすぎるとお客様が引いてしまう可能性がありますので、多少やわらかいビジュアルにするようには心掛けています。とくに、『いもむし三兄弟』はかわいらしく作ってあるので、初心者には食べやすいかもしれません」

――やはり不人気な虫、例えばゴキブリなんかは、お菓子にするのに適してないのでしょうか?

小原「それも多少はありますね。店頭にはゴキブリのケーキを展示していますが、面白いから飾っているだけで、さすがに一般に販売する予定はございません。また、昆虫シリーズはネット販売が中心ですので、発送の際に壊れないような虫であることもポイントですね。ちなみに、カブトムシの成虫の足の細い部分は、チョコだけで作ると折れてしまうので、いかそうめんにチョコをコーティングして作っています。現在、次は何の虫をお菓子にしようかと検討中です」

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 ちなみに、大の虫嫌い、大のお菓子好きの筆者。数日に渡る試行錯誤の結果、虫っぽい模様を見ないように裏返しにし、できる限り細かく砕いてから口にするのが最もおいしく食べられる方法であった。そうして、やっとの思いで食べきったときの達成感たるや。努力した分、完食の感動もひとしおである。……あれ、そういう話じゃないっけ。
(取材・文=朝井麻由美)

●『小松屋本店』
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http://komatuya-h.jp/>
秋田県横手市田中町9-17/営業時間:9:00~18:00/定休日:火曜/電話: 0182-32-0369
これだけ豊富な種類の虫スイーツを展開する小松屋本店だが、実は一番のロングセラー商品は、60年以上前から安定した人気を誇る『アイスドリアン』(味はミルクとあずきの2種類)。ドリアンの食感をイメージして作ったアイスキャンディーで、夏は多いときで1日に5,000本売れる日も。


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