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“宇川 彼は自覚していますからね。そう、昨日は「クラスの過半数は有吉さんのことを嫌いです」というツイートをRTしていて、「それが健全な世の中だ」と呟いていました(笑)。ここに動員の秘密があると思いませんか?”

DOMMUNE宇川直宏発言の「彼」とは、有吉弘行のこと。

“毒舌キャラは視聴者の批評を代弁する役割として、いつの時代も求められ続けているんですよ。そしてDISり芸に関しては、地獄の中で、そのスキル=洞察力を磨いて、さらには人心掌握術を身に付けた。つまりはDISられた側にも笑いを与える方法を。”

“今、有吉さんが立っているポジションは、全タレントの中でTV出演本数1位ですからね。ツイッターはもう100万フォロワーを超えている。”

宇川発言を受けて、津田大介は次のように語る。

“津田 今日ずっと宇川さんに話を伺っているなかで、僕の中になんとなく降りてきたキーワードが「わら人形」なんですよ(笑)。どういうことかというと、有吉さんも含めて、「ソーシャルメディア時代のインディペンデントなあり方、これからのスーパースター像って何なんだろう?」って考えたときに、「とりあえずわら人形になれる奴なんじゃないかな」と思ったんです。人っぽい形をしているんだけれども、いろんなところで釘を打たれたり、カラス除けに使われちゃったり、みたいなね。”

この対談は、津田大介『動員の革命』の中の第2章に登場する。
『動員の革命』全4章構成。
それぞれの章が「解説編」「対話編」で構成される。

第1章 ソーシャルメディア×革命
「アラブの春」を起こした真の力とは
第1章 対話編 モーリー・ロバートソン×津田大介
ソーシャルメディアで世界は変わったか
第2章 ソーシャルメディア×情報発信
ムーブメントをおこすために必要なこと
第2章 対話編 宇川直宏×津田大介
ソーシャルメディア時代のスーパースターとは
第3章 ソーシャルメディア×震災
東北復興のためにできること
第4章 ソーシャルメディア×未来
新しいマネタイズの方法とは?
第4章 対話編 家入一真×津田大介
ソーシャルメディアの力でマネタイズする
特別鼎談 中沢新一×いとうせいこう×津田大介
「動員」で世の中を変えていこう

ソーシャルメディアの本質は、“「誰でも情報を発信できるようになった」という、陳腐なメディア論で言われがちなことではなく、「ソーシャルメディアがリアル(現実の空間・場所)を『拡張』したことで、かつてない勢いで人を『動員』できるようになった」というところにある”というテーマで、どのような「動員の革命」が行われ、進んでいるかを検証したのが本書だ


「解説編」で具体例をあげながら現状を整理解説して、「対話編」で未来を含めて縦横無尽に語るという構成がいい。


これからのソーシャルの中で生きていくために必要なのは、わら人形的メンタリティーであると津田大介は語る。

で、こういう話をすると出てきがちなのが「スルー力(何を言われても気にしない力)が大事だ」みたいな話なんですけど、わら人形になるっていうのはスルー力持つのとは違うんですよね。だって、わら人形はスルーしない。受け止めているんだから。分かりやすい例でいえば、ソフトバンクの孫正義社長や乙武洋匡さんなんかはその典型ですよね。

わら人形そのものには物語はないが、五寸釘を打たれることによって物語になるのだ。

“いつ五寸釘を打たれてもいい覚悟を持ってわら人形になれる奴が強い。たとえ五寸釘を打たれても、込められたメッセージをすべてそのまま受け止めるのではなく、あくまでもあいまいな「思い」としてそれを受け入れ、自分の中で消化する。これを自覚/無自覚的に行っている人がソーシャルメディアで「動員」できているわけで、それは現実の知名度と、ソーシャルメディアにおけるフォロワー数や言論の影響力が比例しない何よりの証拠になっていますよね。”

http://www.excite.co.jp/News/reviewbook/20120507/E1336317506297.html