【食べログ問題】 

 
 人気グルメサイト「食べログ」でのやらせ投稿問題で、消費者庁は、飲食店や投稿請け負い業者など関係事業者の行政処分について「非常に難しい」との見解を示した。「不当表示」の立証は難しいのが現状で、有効な再発防止策も提示されていない。一方、サイト運営会社や広告業界では、サイトの信頼性低下に危機感が高まっており、独自のガイドラインを作成する動きも広がっている。


 今年1月、食べログ上で飲食店に好意的な感想を投稿する見返りに、金銭を受け取っていた不正業者の存在が明らかとなった。


 消費者庁は景品表示法上の不当表示に当たらないか調査を開始。投稿を依頼した可能性のある飲食業14社に事情聴取した。


 このうち4社は依頼の事実は認めたが「客に書いてもらったアンケート結果を投稿に反映させただけ」などとし、やらせは確認できなかった。また、投稿を請け負った業者については2社に話を聞いたが、こちらも「客の声を反映させただけ」などと虚偽投稿を否定したという。


 消費者庁の福嶋浩彦長官は会見で、処分について「非常に難しい」と説明。消費者を装った口コミや、広告と気づかれないように行われるステルスマーケティングについては「すべて法律で縛っていくというのは難しい」とも語った。


 法律の網からもれる“不正な”投稿に、事業者間ではサイトの信頼性維持のため自主的な取り組みが行われている。


 食べログの運営会社「カカクコム」は不自然な投稿がないかを専用チームでチェック。3月からは、認証フォームで携帯電話番号を入力してもらえば、レビュアー名の横に、「携帯番号認証済」のマークが表示される仕組みとし、投稿者の信頼性の向上に一役買っている。


 ブログ「アメーバ」を運営する「サイバーエージェント」は、芸能人らがブログ内で金銭や試供品を受けて商品紹介を行う場合、広告との関係性を明示するよう求めてきた。1月以降は関係性の明示を「必須条件」とし、担当者が芸能事務所などに説明に歩いたという。


 同社広報部の真下紗枝さんは「やらせ記事が発覚すれば、ブログは批判の声にさらされ、炎上する恐れがある。企業にとっても、芸能人にとっても、マイナスイメージにつながるとの理解も必要だ」と訴える。


 企業や広告代理店など約40社が会員となる「WOMマーケティング協議会」も関係性の明示を求めるガイドラインを作成、普及に努めている。同協議会の細川一成事務局長は「サイト上の“広告”を法で規制しても、いたちごっことなりやすい。地道な啓発活動を続けることが重要」としている。



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